幸せなひとりぼっち En man som heter Ove ☆☆☆☆

こんなのやってたなーとwowowの映画ラインナップを見て、Amazonで原作を購入。なんとなく、、だったのだけど、読み始めたら止まらない。そして最後はうるうると涙を拭くという。。。
映画も後から見たけど、映画は原作を短縮しすぎていて、原作の方が何倍もいいと思いました。

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

奥さんの事を一生懸命愛して、彼女がいる事が彼の全てだった。
そんな奥さんが先に死んで、後追いすることだけを考える。。でもそれがうまくいかない。
頑固で一途で真っ直ぐで扱いにくい人だけど、誰よりも信用できる人ってこんな人なんだと思う。
このお話は、隣近所、みんなが交流して家族のようになる様子を描きつつ、奥さんを亡くしたオーヴェのモノクロの人生がまた色をつけた人生になっていく様子を描いている。
誰とも会話せず、関わらず、だから一人だと思っていたのに、いつも見守っている人たちがいて、、、奥さんを亡くした事も知らない、今までのオーヴェの事も知らない一家が向かいに引っ越してきたことで自殺することだけを考えていたオーヴェの生活が変わっていく。
今ってお隣さんとのおつきあいも余りない人が多い。
いつでも鍵を預けてズカズカと入っていけるお向かいさんとの関係が最後は、オーヴェの全財産、家、猫、全てをお隣さんへ託されることになる。たった4年の出来事でここまでの信頼関係になるのであります。

お向かいの子供のために、アナログだったオーヴェがiPadを買いにいくことになる。
そして気がつけば、近所の人たちはIT系やアイフォンのアプリを作ってたり、スウェーデンがIT国なのがさりげなく分かる文章が入ってたりする。
車へのこだわりのやり取りも面白い。オーヴェはサーブ命。隣人がボルボからBMWに乗り換えたのを裏切り行為と言い放つ。そして口もきかなくなる。新しく隣人になった若い子がルノーを買うと言ったのを、やめさせて、トヨタを買うのも渋々見ている。
そして住民はイケアで家具を買うが、組み立てが器用な人ばかりでなく、オーヴェはアチコチに修理や家具の取り付けの手伝いへいく。

「今日もやることができてしまった。」
奥さんのお墓の前で毎回報告するオーヴェの姿が切ない。

アナログで、家具も作れ、車の修理もできるオーヴェが敵わなかった「白シャツ」組(役人)。そんな役人たちに勝てたのは、今の若者達の力。インターネットを駆使し情報を集め、メディアの力を使って大切な隣人を守るために一致団結する。

ちょっとスウェーデンの国のシステムに驚いたのは福祉国家ゆえの問題点。
なんでもかんでも施設に入れてしまう。施設へ斡旋する作業を国から民間企業へ委託されているから、利益のために次々に施設へ送り込もうとする。施設に入ったら死んでしまう。。というセリフが何度も出るのだが、国が作る施設ゆえにそんなに豪華でもないのだろう。