万引き家族 ☆☆☆☆

日本映画は重い。。。ふうってなっちゃうんだよね。
でも、やっぱり見た方がいい映画。


是枝監督は一貫して家族のあり方について問う。
今回もそうだ。

虐待、失踪、置き去り、老人の孤独死 今の社会問題を絡ませた映画
誘拐ではなく拾ったという信代。 そうなのだ。 失踪しても捜索願を出すわけでもない。
親になりたかった二人は、たまたま死にそうな子を可哀想だと引き取っただけ。
拾っただけ。
でも結局お父さん、お母さんと呼ばれることはなかった。

翔太は多分パチンコ屋のパーキングで車の中に置き去りにされていたのだろう。
りんは、寒空の中外で一人夜遊んでいた。暴力に怯え、たたかれないけど貧乏な雑居生活と虐待される本物の家庭のどちらかを選択しないといけないとなったときに、偽物家族を選ぶ切なさ。
お金がないから、葬式代を出す事はできない。
これもこんな人たち沢山いるんじゃないか、、とも思ってしまった。じゃ、土の中に埋めよう。
これは犯罪にもなるのだけど、当の本人はそう思ってない。多分死んだおばあちゃんでさえ、そう思ってない。一人で死ぬより家族でもないけど一緒に住んでいる人たちが死んだ事を分かっていてくれる。
そこから先はどうでもいいよって。

りんを拾った事で、みんなが変わっていく。
りんだけはみんなが守りたかったのではないだろうか。

色々な意味で隠し事があり、痛みがある人たち。
警察の言葉だけを信じれば、騙されてたのかも?裏切られた?と思うのかもしれない。翔太やあき(さやか)の役所は特にそれを表現していたのだけど、だけど、、、あの一緒に過ごした時間、あの家にいた間は守られていた。家族でもないけど、何かがあった。と亜紀はそう思ったから、あの家を訪れたのではないだろうか? 実際亜紀の親は亜紀が家出していてもオーストラリアへ留学などと嘘をついている。樹木希林役のおばあちゃんは、お金をもらいに行きつつ、毎回親が亜紀が居なくなっていることをどう言うのかを確認しにいってたのではないかと感じた。

一番かわいそうなのはりんである。
また虐待される家庭が本物の家庭だからと戻されていくが、毎日外を眺める。
また拾ってくれないかな、、、またあの人たちが現れないかな、、

沢山心に響くセリフがちりばめられていて、、
私は血の繋がりより、絆の方が大事だなあって思ってしまう。
自分の家庭が血だけの繋がりで、絆を感じないからなのか、、
子供が安心や幸せを感じなければ、それってもう問題がある家なのだと思う。

「子供を産んだら母親になれるんですか?」
名前だけの母親は沢山いる。